リスボンの人々はうっとりする時間をもっている
世界的に見ても展望台が多いリスボンの街。日本でも夜景がきれいなレストランや街を一望できるタワーはあるけれど、それは特別な時間。ここでは、眺めのいい日常がある。寄りより引きで見たい街なのだ。
地下まで眺めがいい!オライアス(Olaias)駅
リスボン万博の時に作られたメトロのオライアス駅は人々が毎日使う地下鉄。まるでアミューズメントパークに足を踏み入れたかと思う駅構内は、幾何学なタイルや金属仕様の支柱、華やかなステンドグラスが張り巡らされている。ここを急いで通り過ぎるのは勿体ない。目の遊び空間のよう。
建築家トマス・タベイラによる設計と芸術家グループによるインスターレーションのコラボレーション。
赤い屋根が模様のように並ぶ展望。ポスタス・ド・ソル
幾何学模様のように屋根が並ぶリスボンの街は、Olaias駅のまばゆさとステンドグラスが張り巡らされた景にどこか似ている。その美しさを誰よりも知っているのがこの街の人々。街を眺めることだけを目的につくられた展望台がリスボンにはいくつも存在するのだから、驚いてしまう。
お気に入りの展望台はどこ?という会話が成り立つ街
こんなに展望のいい街に暮らしていたら、待ち合わせはもちろん、朝の時間、夕方のひととき、休日のお茶時間など、それぞれをお気に入りの眺めの中で過ごしたいだろう。眺めながら思うのは、毎日同じ風景などないということ。空や街の変化、自分の気持ちの変化、一緒にいる人によっても、景色は違ってみえるのだから。
より野性的な展望を求めてオビドスへ
リスボンから日帰りで行ける城壁に囲まれた小さな村オビドス。丘の上まで登るとそこからは野山が広がる中に中世の建物が並び、赤い屋根と海に囲まれたリスボンとはまたひと味ちがった眺めに出会える。その昔、この地に魅せられたイザベル王妃にデニス王がプレゼントした村ともいわれ、別名「王妃村」と呼ばれる。眺めごとプレゼントするとは、王妃も宝石をもらうよりも心が安らぎ贅沢を味わったことだろう。
やはりポルトガルは寄りではなく引きで撮ってこそ絵になるし、部分じゃなくまるごと味わいたい国なのだ。